2014年8月28日木曜日

「十八史略(19)―鮑叔牙と管仲⑧」

「どこにかくれたらよいか」

 費は、そこに戸棚があったので、その戸を開いて、
「このなかにしばらく潜んでください」

「そうか、そうか」と襄公はその中に入った。

費は鍵を閉めた。

費が座所に戻ると、造反軍は待ち切れずにすでに突入していた。

座所に襄公はいなかった。無知は費に向かって、

「おまえが知らせたのか」

「そうだ」と費は胸を張って答えた。

そのときには、連称が大刀を振り下ろし、費の首を斬った。

結局、戸棚に隠れていた襄公も見つかり、殺されてしまった。こうして、クーデターは成功し、無知が新しい国主となった。

 この騒ぎに紛れて、まだ臨湽に残っていた襄公の弟で小白の兄の糾は、守役の管仲らと逃げ出した。糾の母は魯の国の出身であったためにこれを頼んで、亡命先に魯を選んだ。

 「無知では国は治まりますまい。あと少しの辛抱ですが、莒に逃げられた弟君の小白様の動向の方が大切です」と、管仲は魯への道中の間に言って聞かせた。

 

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