2014年8月26日火曜日

「十八史略(17)―鮑叔牙と管仲⑥」

 襄公の乱行は日増しに酷くなった。多くの人が襄公を恨んだ。従兄弟の無知は、襄公の父には公子待遇にされていたものが廃止になったために恨んだ。無知は、秘かに不平不満をもつ輩を集めた。

 襄公は連称(れんしょう)を守護隊長に任命していた。そして、その従妹が後宮にいたが、襄公から無視されて一度たりとも寵愛を受けたことがなく、連称は従妹からも不満を聞かされていた。この不満の連称の従妹をスパイとして情報を探らせ、好機が到来するのを待っていた。

 12月に襄公は狩りに出かけた。襄公はかなりの錯乱状態にあった。

 勢子に追われて、一頭の大猪が飛び出してきた。
 「彭生さまだ」
 と叫ぶ者がいた。

 彭生は、少し色も黒く、肥満体で猪に似てないでもなかった。さらに襄公は錯乱状態にあった。襄公は彭生を殺したことが多少気になっていた。

 「彭生は死んだはずだ!」と叫び、弓を引き絞って、猪に向かって、矢を放った。矢は眉間に突き刺さった。と同時に猪が立ち上がったように見えた。襄公は、悲鳴を上げて車から転げ落ちた。そのはずみで靴を失くした。

 

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