2013年12月24日火曜日

北京の大気汚染

  北京をはじめ中国各地で、大気中の有害物質の濃度が過去最悪レベルに達しているようです。1978年にはじまった改革・開放政策のもと、経済成長を最優先させてきた結果、大気汚染が進行してきたというわけです。

北京市内の小児科医院では1月だけで約9千人が診察に訪れたといいます。

呼吸器疾患を引き起こすとされる直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子物質「PM2.5」の濃度が数字で示されたことで、濃霧の正体が有限物質を含む大気であることが知れ渡たりました。

2008年から独自にPM2.5の数値を公表してきた北京の米国大使館は、大気1立方メートル当たり250μg以上を「有害」と定めています。今年1月は危険域に達した日が15日を超えたといいます。日本の基準値の25倍となる同900μgを記録した日もあったようです。

何が大気汚染を引き起こしているのか。主原因としては、工場から排出される煤煙や自動車の排ガス、火力発電や暖房に使用される石炭が挙げられます。

北京市内を走る乗用車は、現在約520万台。新規登録を制限していますが、15年には600万台に達すると見込まれています。石炭への依存率は減少傾向にありますが、それでも昨年は石炭が66.4%を占めました。石炭業界幹部は「今後数十年、中国のエネルギーの主体は石炭であるという局面は変わらない」と述べており、劇的な改善は期待できないようです。

零細企業が精製する基準を満たさない燃料がいまだに流通しています。低所得者層は安価な粗悪品で暖を取るため、冬季は特に汚染物質の排出が著しくなります。罰則規定を設けても、企業は設備の改善よりも安く済む罰金の支払いを選択しているようです。

中国で汚染が深刻なのは大気だけではありません。水質も、土壌も、末期的状況に陥っています。

国土資源省が国内118都市で行った水質調査では、64%の都市で重度の地下水汚染が確認され、33%が軽度な汚染とされました。民間団体の調査では、北京に生活用水を供給する河川はすべて、飲用に適さないレベルまで汚染されているといいます。

鉱山や工場から出されるヒ素や重金属で土壌も汚染されており、影響が及んでいるのは、全国の高地の5分の1とも10分の1とも言われています。

中国環境保護省は200610年に土壌汚染状況調査を行ないましたが、結果は公表されていません。今年、北京の弁護士が情報公開を請求したところ、当局は「国家秘密」として拒否しました。弁護士は中国メディアに「深刻すぎて公開できないのだろう」と語っています。

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