2013年9月20日金曜日

卑劣な消費税増税の前提条件

 政府が8月8日に了承した「中期財政計画」を読むと奇妙なことに気がつくと元内閣参事官の高橋洋一氏は言います。

 国・地方の基礎的財政収支として、「平成25年度(2013年度)▲34.0兆円→平成27年度(2015年度)▲17.1兆円程度」と書かれています。この数字は、閣議の直前に行なわれた経済財政諮問会議で配布された「中長期の経済財政に関する試算」(新試算)において経済再生ケースで出てくる数字と全く同じであるといいます。この「中長期の経済財政に関する試算」では、主要な前提として、「消費税率(国・地方)を1443%、1510月に2%引き上げることを想定」と明記されています。

 しかし、閣議了承された「中期財政計画」は、表向きは消費税増税を前提としていないといいながら、こっそりと消費税増税を前提とした数字になっているわけです。

 昨年831日に発表された前野田政権の時の経済財政の中長期試算(旧試算)と比較してみましょう。旧試算の成長戦略シナリオでは、2020年度と23年度の名目GDP(国内総生産)はそれぞれ625兆円、693.7兆円でした。

 新試算の経済再生ケースでは、それぞれ620.7兆円、689.3兆円と、両者はほぼ同じ経済成長となっています。異次元の金融緩和といいながら、その成果である経済成長に差がないのはおかしいというわけです。新試算では名目成長4%以上になってしかるべきだと高橋氏は指摘します。

 20年度と23年度の基礎的財政収支対名目GDP比率について、旧試算で▲1.4%から▲0.9%となっていましたが、新試算では▲2.0%から▲1.5%と財政が悪化しています。

 こうした不可思議な数字で、増税を正当化しようとしているというわけです。新試算で名目成長を4%以上に設定しないのは、そうなると増税の根拠がなくなるからです。ちなみに、小泉政権では増税なしで、プライマリー(基礎的財政)収支は、ほぼ均衡し、財政再建しています。これは増税派にとっては、すこぶる不都合な事実です。

 

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