国・地方の基礎的財政収支として、「平成25年度(2013年度)▲34.0兆円→平成27年度(2015年度)▲17.1兆円程度」と書かれています。この数字は、閣議の直前に行なわれた経済財政諮問会議で配布された「中長期の経済財政に関する試算」(新試算)において経済再生ケースで出てくる数字と全く同じであるといいます。この「中長期の経済財政に関する試算」では、主要な前提として、「消費税率(国・地方)を14年4月3%、15年10月に2%引き上げることを想定」と明記されています。
しかし、閣議了承された「中期財政計画」は、表向きは消費税増税を前提としていないといいながら、こっそりと消費税増税を前提とした数字になっているわけです。
昨年8月31日に発表された前野田政権の時の経済財政の中長期試算(旧試算)と比較してみましょう。旧試算の成長戦略シナリオでは、2020年度と23年度の名目GDP(国内総生産)はそれぞれ625兆円、693.7兆円でした。
新試算の経済再生ケースでは、それぞれ620.7兆円、689.3兆円と、両者はほぼ同じ経済成長となっています。異次元の金融緩和といいながら、その成果である経済成長に差がないのはおかしいというわけです。新試算では名目成長4%以上になってしかるべきだと高橋氏は指摘します。
20年度と23年度の基礎的財政収支対名目GDP比率について、旧試算で▲1.4%から▲0.9%となっていましたが、新試算では▲2.0%から▲1.5%と財政が悪化しています。
こうした不可思議な数字で、増税を正当化しようとしているというわけです。新試算で名目成長を4%以上に設定しないのは、そうなると増税の根拠がなくなるからです。ちなみに、小泉政権では増税なしで、プライマリー(基礎的財政)収支は、ほぼ均衡し、財政再建しています。これは増税派にとっては、すこぶる不都合な事実です。
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