2013年8月5日月曜日

老化は治せる(6)

 ストレスを受けると、わたしたちのからだは生物学的な反応を引き起こします。その反応の原因となるものをストレッサ―と呼んでいます。ストレス反応は、ストレスによって細胞のなかにさまざまな物質が生じることを指しています。その代表的な物質が「ストレスタンパク質」と呼ばれる分子の一種なのです。ストレスタンパク質の発見が、老化学をさらに進展させることになりました。

 非常に弱い、あるいは弱いストレスが自然炎症を引き起こします。この炎症は、生体が性成熟するまでの間、からだにはよい刺激を与えます。つまり、弱いストレスは成長段階ではプラスに作用するのではないかと考えられています。

 強いストレスを受けた細胞はストレスタンパク質を過剰に発生させ、細胞自体を傷つけた結果、その細胞が自殺します。この場合、自殺した細胞から放出された物質や、死滅した細胞自体の処理過程で急性炎症あるいは慢性炎症を引き起こす原因になることがあります。

 強いストレスを受けることなく一生を終えられるヒトはいません。歳を経るうちに強いストレスを受けつづけていくと、老化が促進されることになります。

 

 老化理論には大きく二つの学説がありました。

 その学説の1つは、「擦れ切れ・エラー説」と名付けられています。すべての生物が、時間とともに自然に歳をとり、老いぼれ、壊れ、死んでいくのであって、老化を積極的に推進する仕組みはない、というものです。

 もう一方の学説は、比較的新しい「プログラム説」です。老化という自己破壊過程も、遺伝子にキッチリと整然とプログラムされた衰退の過程だというのです。

 「なぜ、老化という自己瓦解の不利なことまでも遺伝子にプログラムされているのですか?」という質問に対し、プログラム説をとる学者は、「世代交代を容易にし、種の繁栄継続に有利であるため、積極的に採用された方法だから」と答えるはずです。

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