2013年8月2日金曜日

老化は治せる(3)

  後藤眞氏は、炎症には大きく分けて急性と慢性の二つがあるといいます。

 結核菌やヘリコバクター・ピロリ、あるいは肝炎、インフルエンザなどのウィルスが、感染症を起こす手ごわい外敵として流行しはじめました。

 「頭のいい」細菌やウィルスは、いつまでもわたしたちのからだのなかにとどまって、からだが弱くなるのを見計らって、組織に危害を加えつづけます。また、自分のからだの組成を四六時中変化させて、免疫組織から駆逐されないように逃げつづけます。重い感染症を引き起こす慢性炎症以外にも、歯周病(歯槽膿漏)、結膜炎、皮膚炎(水虫など)、痔ろうなど、あまり病気と意識されない軽微な慢性炎症もあります。
 
  急性炎症は症状が激しく現れますが、慢性炎症の症状は比較的ゆるやかです。
 
  急性炎症は生物に本来備わっている、原始的な自己防衛反応であり、慢性炎症には自己防衛反応は見られません。慢性炎症は、もっばら自分自身を傷つけ、自己破壊的悪循環の状態にあるケースを指すのです。
 
  自己免疫疾患はすべて慢性炎症がもたらす病気です。免疫システムが、なんらかの原因から自己と敵(非自己)の区別がつけられなくなってしまって、自分の組織の一部を攻撃し、延々と傷つけるという点がこの病気の特徴です。
 
  老化の仕組みを具体的に表現する言葉として、「inflamm-aiging(インフラメイジング。「炎症老化」と訳しています)という医学用語が登場してきました。「炎症(inflammation)」と「老化(aiging)」を掛け合わせた造語です。最近の研究から、老化現状が「非常に弱い炎症」と「弱い炎症」にも深く関わっていることがわかってきたのです。
  弱い炎症も気がつかないうちに起きている炎症の一種ですが、これは細胞のなかではなく、組織(細胞の集まりで、筋肉や皮膚、骨など)のある部分に起こります。

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