2013年6月19日水曜日

安倍首相の経済音痴

  安倍晋三首相が65日の成長戦略スピーチで、「1人当たりの国民総所得を10年間で150万円以上増やす」と公約しました。ここまでは、よかったのですが、その後の街頭演説では「みなさんの所得」あるいは「年収」が、「150万円増えます」などと言い回って、またもや大恥をかいたとジャーナリストの高野孟が書いています。
 
 高野氏は、うちの奥さんですら「この人、経済学の初歩の初歩もしらないでしゃべっているのね」とあきれるほどの無知ぶりをさらけ出した。この一事をもってしてもアベノミクスは終わったと言ってもいいと言っています。
 
  国民総所得は一国の経済規模の全体の大きさを所得面から見た場合の捉え方で、実体的には、企業収益と金融利益と雇用者所得にほぼ三分されます。企業が内部留保を増やして賃上げを抑制すれば「みなさんの所得」に回る分はゼロになります。安倍首相の言い方は虚偽を超えて詐欺であるとまで高野氏は書いています。

 さらに、「ひと言でいえば無教養。何事もきちんと勉強したことがなく、取り巻きのブレーンから吹き込まれただけの耳学問だから、一知半解で、すぐにボロが出てしまう」と痛烈です。
 
  428日の「主権回復の日」祝賀式典は、そんなことをしたら沖縄が怒り、天皇もご不快になるということに思いが至らず大失敗しました。憲法96条先行改正論は、保守派の改憲論者である小林節慶大教授からも「立憲主義の否定」「裏口入学」と罵倒されて頓挫しました。河野談話・村山談話の見直しにいたっては、米国から「歴史修正主義」「国粋主義者」とレッテルを張られて沈黙とズッコケ続きと辛辣です。
 
 安倍の「占領憲法」史観に対して戦後史研究科の保阪正康氏から「かなり危うい」「実に乱暴な表現で史実を語る」「当時この憲法[9]を制定するのに一身を賭した吉田茂や幣原喜重郎、それに賛意を示した昭和天皇の努力・熱意を侮辱するもの」と痛烈な批判が浴びせられているといいます。第9条がマッカーサーの一方的な押し付けでなく、日米合作のたまものであったことは今では学界多数派の意見です。そんなことも知らずに幼稚なことを言い続けているのがわが国の総理大臣であると高野氏は最後まで辛辣です。

しかし、こういう人がマスコミ受けして、選挙に勝ったりするのですから、選挙民は、慎重に誰に投票するかを選ばねばなりません。次の参院選挙は、非常に大事な選挙になります。

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