2013年5月29日水曜日

放射線による緩和療法

  
 「ちょっと歩くと息苦しくなる」「動悸がする」「息が吸い込みにくい」などの呼吸困難をもたらす肺のがん性リンパ管症は、症状を緩和するのが難しいケースが少なくないが、速やかに症状を和らげる、とっておきの方法があるそうです。
 肺全体に少量の放射線をかける緩和療法だと、慶応大学病院の近藤誠氏は言います。

  「空気の通り道である気管支は、肺の中で次々と枝分かれていきます。この気管支に沿うのが血管とリンパ管ですが、がんが進行するとリンパ管が増殖したがん細胞で詰まり、リンパ管の拡張から気管支を押し潰してしまいます。その結果、気管支の中を空気がスムーズに通れなくなり、息切れや呼吸困難などをもらたすのが肺のがん性リンパ管症です」と、近藤氏は言います。

肺のがん性リンパ管症に対して、放射線による緩和療法を提唱・確立した近藤誠氏は、「左右の肺全体に11グレイ、計55グレイの放射線をします。それによりリンパ管を詰まらせるがん細胞を死滅させ、気管支への圧迫を減らし、劇的に空気の通りを改善させるのです」と、言います。

すでに乳がんなどの肺転移から生じたがん性リンパ管症にこの緩和療法を何例も試み、優れた治療効果が実証されています。
 
 肺のがん性リンパ管症は、胃ガンや大腸がん、乳がん、喉頭がんなどいろいろながんの進行・転移から生じます。ロック歌手の忌野清志郎が喉頭がんの肺転移からがん性管症を発症させ、日を置かずに亡くなったのは記憶に新しいところです。
 
 近藤氏は、さらに「抗がん剤の投与などはもってのほかです。間質性肺炎などを起こすなど肺へのダメージがさらに加わってしまいます。抗がん剤に耐性を持ったがん細胞の出現を招き、かえって寿命を縮めてしまうケースが後を絶ちません。

 
 重要なのはがん性リンパ管症に対する放射線療法を受けた後、抗がん剤治療を受けてはならないことです。抗がん剤の副作用=毒性が強く表れ、肺障害から死亡しかねないからです」と、放射線による緩和治療を受けた後の抗がん剤治療の副作用についても言及している。

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