2013年4月19日金曜日

財産が少ないほど相続でもめる(4)~木村晋介

 
実質的公平を保証する最後の手段はやはり遺言です。実際遺言は、強力な紛争予防手段で、少額相続についても例外ではありません。安全性の観点から、自筆証書遺言(作成日を含めすべて自筆で書かれ、署名押印があることが要件)よりも、公証役場で公証人が作成してくれる公正書遺言書の確実性は揺るぎのないものです。

少額の遺産紛争が漸増し、裁判や調停になるものが3割に迫ろうとしているとき、「人はなぜ遺言書を書かないのか」をあらためて問い直してみる価値があります。

「お任せ遺言」と名づけ推奨している遺言の方法があります。相続分や、遺産の分割方法を第三者に委託するというタイプの遺言です。遺言者から委託を受けた第三者が、遺言者の死後それまでの諸事情を勘案して、遺産の分け方を決めるというシステムです。文例をあげれば、「遺言者甲野花はそのすべての遺産につき、左記の者に相続人全員の相続分及び遺言者の資産の分割方法を指定することを委託するとともに、左記の者を遺言執行者に選任する。

住所 東京都中野区中野○丁目○番○号

氏名・職業 乙田春夫・弁護士(昭和50年1月24日生)

その遺産の分け方を、実質的公平になるように決めることができます。少額相続といえど、弁護士にお任せで行くときには遺産の2~3%くらいの支出は覚悟が必要です。

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