2013年1月9日水曜日

藤巻健史の日本大沈没(9)


大きくなったバランスシートの資産の中身ですが、現在の日銀の資産の6割以上は日本国債です。1991年の国債保有額は24.2兆円で、2011年末は90.2兆円です。
1991年には日銀の資産の中で国債の占める割合は48.7%だったのが、2011年末には63%(90.2兆円÷143兆円)まで跳ね上がったのです。
1991年の日銀券の発行額は39.9兆円で、そのうち一部、24.2兆円分を国債が担保していました。ところがいまや日銀は、80.8兆円(20123月末)の日銀券を発行しており、その全部を日銀が保有している国債(90.2兆円)が担保しているともいえるのです。
財政破綻で国債がデフォルトになれば、日銀券の価値も暴落してしまうのです。つまり、円の大暴落ということです。

日本の失敗は、為替政策を無視してきたことなのです。
「超円高」で経済に低い天井を設けてしまったので、財政政策を最大限発動しても、金融政策を最大限発動しても、その低い天井に跳ね返されて効果がなかったのです。
肝心の為替政策を行ってこなかったからこそ、日本は低迷し続けているのです。
為替政策は、調整機能として極めて重要なのです。「景気が悪くなれば円が安くなり、景気を回復させる」という調整機能が日本では働かなかったので、国債も円もバブルになってしまい、破裂の危機にあると藤巻氏はいいます。

ここまで広がった他国との経済力格差を、「観光業に力を入れる」「付加価値がつく産業を見つけ出す」「教育制度を変える」「補助金を増やす」などという生易しい景気対策で埋めることなど、できるわけがありません。
唯一の景気対策は、円高是正、つまり円安政策だったのです。
円安にしておけば景気は回復し、財政出動をする必要もなかったのです。円安政策はもっともパワフルで安上がりの政策なのに、それに気がつくことなく、枝葉末節の議論が横行しました。
円安政策を全面に押し出すべきなのです。

1円の円安でトヨタは350億円もの営業利益が増えるのですから、そこに政府のエネルギーと金をすべて振り向けるべきです。わたしは、円高担当大臣をおいてもいいと思います。この閣僚がもっとも仕事をすべき大臣になるでしょう。

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