2013年1月2日水曜日

藤巻健史の日本大沈没(2)


ユーロの失敗は、変動相場制には、「景気の自動安定装置」という偉大なメリットがあるのに、ユーロ圏はその偉大なるメリットを放棄したことにあります。
ロシア危機のときには、ロシア国債の金利は80%近くまで上昇しました。しかし、そのときに「7%だから危険水域だとかいわれませんでした。それが、今回、スペインの長期金利の利回りが7%だから『危険水域』というのが理解できないといっています。

さて、観光立国ギリシヤが、財政再建を果たすには、独仏からの観光客を増やし、景気を回復させることが第一なわけですが、それには2つの方法があります。
一つはホテル代やレストランの代金を、たとえばいまの2分の1くらいに安くする方法です。これはデフレ政策ですが、デフレで景気が回復した例は歴史上にありません。
あとひとつは、通貨の価値を約2分の1にすることですが、ギリシャがユーロ圏にとどまっている限り、これも不可能です。

 結局、ギリシャがユーロ圏を離れることしかないわけですが、ギリシャがユーロを離れればドイツも離脱し、ユーロは崩壊するでしょう。
満期が到来してもギリシャ政府は国債の元本を返済していません。
ギリシャが債務不履行を選択すれば、ギリシャは「即、ユーロから離脱せざるを得ない」との前提で市場は動いているようです。
すでにギリシャの富裕層は、金融機関から資金を引き出し、ユーロ建てのドイツ国債を購入したり、ドイツの銀行に預け替えをして、ドラクマの復活・急落に備えている人が多いようです。
国力が弱った国の通貨など誰もほしくありません。

ギリシャは食料の約40%を輸入に頼っている国なので、食料不足に陥ることは間違いありません。
資金不足で政府機能がストップすれば、町には警察や消防士、ごみ収集の人たちもいなくなります。
ギリシャ国民はユーロ離脱を契機に、最貧困へと転がり落ちていくことになります。ギリシャがユーロを離脱すれば、そのような悲惨な状況がギリシャを襲うわけですが、それをみた他のユーロ諸国はさすがに同じ轍を踏まないよう緊縮財政にも耐え、必死でユーロ残留を図るでしょう。
問題は、ギリシャがユーロを離脱すると、他の国の中にも離脱するところが出てこないかということですが、危機は連鎖しません。
ギリシャ自身はユーロ諸国の2%くらいの経済規模しかありませんから、大きな問題とはならないのです。

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