2012年9月24日月曜日

原田泰氏の震災復興欺瞞の構図(21)


昨日からの続きです。
最も安上がりで効果的な復興策
「東日本の物的資産は、大地震によっても、政府の言うほど壊れていない。また、過去の震災復旧策は、時間のかかる巨大な浪費であって、復興の効果が小さかったことを説明した。では、どうしたらよいのか。

東日本の被災地は、高齢化し、人口が減少している。発展を見通せていながらインフラ不足に悩んでいる地域ではない。どうのように復興させるのか。東京の人々は何にも知らない。
関西の知識人も。東北について何にも知らない。
リスクとリターンの関係を考えない公的部門が新しい産業を起こすことなどできるはずはない」
そのとおりだと思います。今の復興計画は、官僚や役人が出しゃばり過ぎのように感じます。

「中央集権の組織は、知識の実情について何にも知らない。地域が復興するとは、東北の所得の源を復活させることだ。それは個々の人々の個人財産の復活になる。組織の役割は、個人財産の復活が不公平にならない仕組みを作り、それがきちんと機能するように監督することではないだろうか。このような機能は、既存の組織でも果たせるのではないか」

東日本復興のツボ
東北の所得の源は、農業・漁業・観光と90年代の後半から投資された電子、自動車のサプライチェーンにある。この両者を復活させることが震災復興である。
農業・漁業は、個々の生産者が復活させるものだが、それを政府は助けることができる。漁師はきわめて明確な人的資本を持っている。漁船の運転、魚の獲れる時期と場所、漁獲する能力、新鮮なまま市場に運ぶノウハウである。しかし、漁船という物的資本がなければ人的資本は生かされない。であるのなら、個人資産の復活を援助するのが、もっとも安価な復興支援策になるのではないか。

被災者生活再建支援制度によって全壊世帯に最高300万円を支給する制度も創設された。今回の対応として、被災者に直接現金で手渡す被災者生活再建支援の増額、被災者の住宅取得に伴う二重ローン(破壊された家と新しい家の二重ローン)の負担軽減、被災者が破産したとき手元に残せる資産を拡充すること(現預金400万まで)、一部公的金融機関の被災企業への債権放棄などが議論された。結局のところ、個々の被災者に対して援助した方が効率的なのである」

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