2012年5月18日金曜日

緊縮財政派の敗北

 欧州で56日に行われた選挙が面白い結果になった。仏大統領選で現職のサルコジ氏が敗れ、社会党のオランド氏の当選が決まった。ギリシャでも与党の過半数割れとなり、第1党が連立樹立できずに再選挙の可能性も出てきました。

嘉悦大学教授の高橋洋一氏は、「共通するのはいずれも緊縮政策派が敗れたことだ」と語っています。
こうした欧州危機の時に、ノーベル賞受賞者でもあるアメリカの経済学者ショセフ・スティグリッツ氏は、欧州の緊縮策は「自殺」への処方箋だと言っています。同じくノーベル賞受賞者のポール・クルーグマン氏も、緊縮政策は「狂気の沙汰」として、はっきりとおかしいと言っています。多くの人は経済危機時の緊縮政策は間違っているという点で同意しています。

財政再建のためには経済成長による税収増と無駄カットによる歳出減が最も有効であることは、常識の分野です。現実的に小泉・阿部政権時代に増税なしで財政再建をほとんど行ったという経験もあります。

世間一般でいう財政再建派は、増税が不可避と考えていますが、増税とは税率の引き上げのことに過ぎないのに、それで税収が増えると勘違いしていることが多いと高橋氏は述べています。税率の引き上げは商売でいえば単価の引き上げであり、それが売り上げ増に直結しないのは誰でも知っているが、国家財政の話になると税率引き上げが税収増になるとなぜか誤解しています。

不況・デフレ期に増税すれば経済の回復が遅れて、結局財政再建にならないというのは、橋本首相時代でも経験していることです。ところが、自分でやると成功するとでも思っているのでしょうか。野田首相は、日本丸をバミューダ海域に連れて行こうとしています。

今回の選挙結果は一時的には欧州金融市場に動揺を与えるかもしれないが、長期的には欧州経済にプラスになるだろうと高橋氏は語っています。
不況時に緊縮政策はダメという常識が世界に広まる中で、日本のみが消費税増税という緊縮策にどうのような答えを出すのか。誰が責任をとるのか。野田首相は、首相を辞め、議員を辞めることぐらいでは、責任をとったことにはなりません。

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