2012年2月18日土曜日

野田政権の基本理念のなさ

 116日の産経新聞「正論」に拓殖大学大学院教授の遠藤浩一氏が、野田首相の政治姿勢について論評していました。

「ご本人の乾坤一擲、反転攻勢に出ようという意気込みとは裏腹に、市場も世論も冷淡である。13日夜のニュース番組では、『内閣改造』は『中国人脱獄囚逮捕』に主役の座を奪われた。いうまでもなく、増税は最も困難な政策課題の一つである。その実現のために「不退転」という言葉まで持ち出して首相が決意を示したとなれば、もっと関心を集めてもよさそうなものだが、なんだか白けた雰囲気が漂っている」と辛い評価です。

昨日言っていたことと正反対の政策を持ち出して憚らぬ政党や政治家が、明日何を言い出すか知れたものではない。今日の「不退転の決意」は、明日は「断腸の思いでの撤退」になりかねない。なんと言っても、いったん政治家を辞めると宣言した元党首が「やめるの、やーめた」と居座りを決め込む政党なのである。白けた雰囲気の底に、民主党に対する切実な不信感があることを、首相は、軽視してはならないとここでも辛らつです。

「野田氏に交代したことで、民主党は生まれ変わったのか。これも違う。野田氏こそ、『理念なき民主党』を体現した政治家にほかならない。同氏は『民主の敵』という自著で、政治家に求められる「最低限の資質」として、夢、矜持、人情の3つを挙げている。

夢だけ語って現実から逃避するような政治家は願い下げである。

 おそらくこの政治家を衝き動かしている動機は、『反自民』という情念に集約されるのではないか。それは義理人情といったものではなく、もっとドロドロした怨念である。歴史観の異なる筈の菅氏や岡田克也氏を、代表選でいちはやく支持したり内閣で重用したりするのは、理念に情念が優先するからだと理解すれば、合点がいく。

余りの迷走ぶりに、もはや『民主が敵』という事態は多くの目に明らかだろう。野田氏に期待するのは空しいということである」と正鵠を得ています。久しぶりの正論でした。

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