2011年11月2日水曜日

福島第1原発作業員の闘い

 福島第1原発周辺にあったひとつのがれきが、毎時10㍉シーベルト以上の放射線量を放出していました。5分間で一般人の年間許容量を突破する大きさです。そこは、無人の重機が使えない場所です。待機所で沈黙を破ったのは若手の男性作業員でした。

「俺、1週間で切り上げるんで行きます」

現場では敬意を込めて彼らのことを「特攻隊」と呼ぶそうです。

原発事故を受け、政府は作業員の被曝線量の基準を年間250㍉シーベルトに引き上げましたが、多くの会社では年間50㍉シーベルトが被曝線量の基準となっています。

若手作業員は滞在を短くすることで、被曝線量をクリアすることに決め、無事にがれきを撤去しました。

原発周辺には北海道から沖縄まで、全国の建設会社から2千人が集まっているそうです。警戒区域内での作業は、弁当運びでも12万円。放射能と対峙する作業員には数万円単位で危険手当が付くといいます。

「国のためじゃねえ。自分と家族のため」

そう語るベテラン作業員は警戒区域内の町の出身者です。

夏には、原発作業員の敵は放射能だけではありません。毎日続く異常な暑さもそうです。保冷剤入りの「凍るベスト」も、すぐにフニャフニャになるといいます。男性の現場では1時間仕事、1時間休憩を3回繰り返します。そのたびにに除染し防護服を着替えます。

特に暑いのはマスクで、フィルターで呼吸しにくいそうです。「つらくてマスクをずらす作業員が後を絶たない」

「周辺の旅館には、毎日午後7時ごろになると作業員が続々と夕飯を食べに来ます。

作業員の間で使われている単位は、警戒区域外で一般に使われているマイクロシーベルトではなく、その千倍のミリシーベルト。限界量に近づいても、線量の低い現場を志願して仕事を続ける作業員も多いそうです。

5時ごろ、貸し切った旅館の食堂に集まり始める作業員は夜とは打って変わって無口です。ハムエッグ、納豆、みそ汁をかっ込みます。会社から支給される弁当を手に、いざ原発に向かうバスへ乗り込みます。

「誰かが行かなきゃいけねぇんだ」。そう笑いながら男性作業員(40)の目は真剣そのものだったと産経新聞は書いています。いつまで続くのでしょうか。

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