2011年9月22日木曜日

逆効果の円高対策(3)

 だが、財務省のある幹部は「いやあ、外準は実は借金(FB発行のこと)でまかなわれているのだから、資産としてはないも同然で、使えませんよ」と一笑に付していました。ところが、今回はちゃっかりと解釈を変え、企業向け融資財源として活用すると言い出したのです。しかも、効果に乏しいどころが、国内投資を減らし、デフレを助長するとんでもない政策です。正解を無視するから、ゆがんだ回答しか出てこないと、田村氏はここでも歎いています。

なぜこうも愚か制度を財務官僚たちは設計したのでしょうか。考えられるのは、「円高緊急対応」と銘打った財務省利権拡張動機です。外準融通は事実上財務省系列にある国際協力銀行経由で行われます。財務省管轄の資金は財務官僚の世界で活用するという具合で、いかにも次元が低い考え方です。

そんな財務官僚の誘いにやすやすと乗ってしまう菅直人政権と野田佳彦財務省の能天気、無責任ぶりこそ、もっと責められるべきでしょう。この人たちには、国難の根本原因がデフレにあるという認識と、脱デフレを実現するという目的意識が欠如しています。脱デフレのために、外準と日銀資金を総動員すれば、お札の増量(量的緩和)効果により、おのずと円高が是正され、円安に振れます。復興・再生投資の財源に国内貯蓄が使われ、日本国債の市況を悪化させる恐れもほとんどありません。新生民主党が財務官僚追従路線を踏襲するなら、日本はますます貧しくなるでしょう。

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