2011年9月21日水曜日

逆効果の円高対策(2)

 日本の国内向け民間設備投資は1991年度をピークに縮小を重ねており、年間投資額は30兆円も減っています。この縮小過程でも円安に触れたときは設備投資が回復し、円高時には急減しています。米欧のみならず、中国などの新興国や韓国など他の主要国ではほぼ一貫して民間設備投資が増え、経済活力のを支えています。ただ一国、日本だけが円相場に振り回され、円高とともに国内投資が減り、日本の技術と雇用の源を海外に移しています。中国も韓国も日本企業に優遇策を提示し、これまで国内にとどめていた虎の子の技術資源を呼び込もうとたくみに誘惑しています。そして日本政府はこれに呼応しています。まさに国益の流出奨励策であると田村氏は歎いています。

田村氏は3年前から、脱デフレのための財政金融一体化策として、外貨準備の活用を提案してきました。外準は財務省が政府短期証券(FB)と呼ばれる一種の短期国債を発行し、金融機関から円資金を調達し、主として米国債を購入して運用しています。この米国債を日銀に売却すれば、100兆円程度の資金を確保できます。あるいは、日銀がFBを民間金融機関から買い上げます。政府はそこで、建設国債を発行すれば100兆円程度の資金を難なく調達できます。

311日の東日本大震災が起きると、田村氏はこの案を改めて提案しました。もともと国内貯蓄は米国債での運用で超円高に伴って20兆円も為替差損を被っています。ならばこの貯蓄は国内向け投資に使うというわけです。

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