2011年9月20日火曜日

逆効果の円高対策(1)

 産経新聞の田村秀男編集委員が828日の日曜経済講座に寄稿していました。

「現代のこざかしい官僚たちは、国家の難問に対する大正解から目を背け、効力のない小出しの政策に汲々とする。財務省が824日に打ち出した『円高対応緊急パッケージ』がまさにそれである」と厳しく指摘しています。

田村氏は、「『円高対応』の柱は、外国の為替資金特別会計が保有するドル資金、つまり外貨準備を流用した融資制度である。1千億㌦(76千億円)規模の基金をつくり、日本企業に低利融資し、海外企業や資源の買収を後押しする。企業はこのドル資金に円資金を売って得たドルを合わせて投資するので、円高に歯止めがかかるという触れ込みだ。

しかし、海外の投機ファンドは、ドル資金融通制度は円高を生かすのだから、日本政府が事実上円高を容認していると受け止めている。短期間での円高是正には役立たないどころか、逆に投機ファンドから付け入られかねない」と指摘していますが、わたしも田村氏の言の方をとりたいと思います。

さらに、「日本企業は手元にこの3月末で211兆円以上もの現預金を持っており、国の資金に頼らなくても、チャンスとみれば、投資を決断するゆとりがある。問題は投資するのが、国内か海外か、の選択で迷っているのです。企業はデフレ不況と需要不足の国内に見切りをつけて、中国など海外投資を加速すべきかどうか迷っています。そんな状況なのに、政府はドル資金融資で企業に対外投資を奨励するというわけです。いわゆる産業の空洞化を政府資金で後押しするわけです。財務官僚は、莫大な資金を海外の投資ファンドからもらっているのではないでしょうかと言われれば、そうかなと思う対応です。

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