2011年8月6日土曜日

菅下ろしに大義と覚悟

 産経新聞論説委員の皿木喜久氏の寄稿から拝借しました。

「通算7年余りにわたって首相をつとめた吉田茂が退陣したのは、昭和29(1954)127日のことでした。

自由党は少数与党に陥っており、不信任案の可決は確実だった。しかし吉田はなお、解放・総選挙による権力維持をもくろみ、側近の池田勇人幹事長や佐藤栄作らはこれを支持した。これに対して、同じ自由党でも次期総裁にきまっていた副総理、緒方竹虎らは解散に反対、総辞職論を唱えた。

吉田は外相時代から愛用していた目黒の公邸(現東京都庭園美術館)に陣取り、閣僚や幹部を説得し、閣議で解散を強行しようとした。だが最後に緒方が『解散するなら議員を辞めて田舎に引っ込む』と宣言したため、吉田さんも政権を放棄せざるを得なかった。数日後、左右社会党の支持を得た民主党の鳩山内閣が発足する」。

今の民主党には、緒方竹虎氏のような人がいないことがさびしい限りです。岡田氏や仙谷氏などは、張子の虎で、迫力も信念もありません。

自民党の谷垣禎一総裁は、不信任案を出す前に、61日の党首討論でこう述べました。

「あなたが辞めれば、党派を超えて新しい日本のために団結する道はできる」。

一見、三木武吉の発言を彷彿させるが、「党派を超え団結」した後、何をなすかは語っていません。時の権力を退陣に追い込む「覚悟」も希薄にみえます。当選11回を数えながら内閣には一切つかず、吉田政権打倒と保守合同にかけた三木武吉や、差し違え覚悟で吉田に引導を渡した緒方竹虎がいない。ちなみに、緒方は自民党結成から2カ月後の311月、三木は同年7月、ともに全ての力を使い果たしたかのように、世を去っています。

現職の首相を辞めさせるのは、容易ではありません。よほどの覚悟が必要です。はたして今の政治家にあるのでしょうか。

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