2011年6月25日土曜日

福島原発事故のスイス当局の厳しい指摘

 スイスの原子力安全当局が今回の福島原発の事故を分析し、55日に同国政府に報告しました。これによると、東電は、「想定外のことが起こった」、「想定外のことが起こった」を連発し、免罪符かのようにし、自らの責任逃れをしていたように思われますが、スイス原子力安全当局は「想定外の事態は何一つ起きていない」と、日本の安全対策の不備をピシリと指摘する報告書をまとめています。

これによると、

緊急システムに津波防護策が施されていなかった

冷却用水源や電源の多様化が図られていなかった

使用済み核燃料プールの構造が内外の衝撃に対して無防備で確実な冷却機能もなかった

 ④ 原子炉格納容器のベント(排気)システムが不十分だったと指摘されました。

 その上で、「携帯用ディーゼル発電機やポンプの備えがあれば、もっと短時間で原子炉への注水を再開できた」として2号機と3号機の炉心損傷は避けられたと分析。

 「最初の3日間に3号機と4号機の使用済み核燃料の過熱と放射性物質の流出を防ぐために貯蔵プールに注水できなかった事実はもっと不可解だ」と厳しく批判しています。

 さらに、報告書は「過去500年に福島第1原発の安全基準を超える津波が19回も起きているのに、十分な対策を怠ってきたことは日本の安全基準への不信感を醸成している」としています(産経新聞6月20日)。これも厳しい指摘で、日本において、こういう指摘は、受けたことがなかったように思います。こういう情報(安全基準を超える津波が19回も起きている)も聞かされていませんでしたし、もしそうなら、こういうところに原発を作ったこと事態がおかしいといえます。いつからこういう隠蔽体質になったのでしょう。

 いずれにしても各電力会社が原発を再稼動するときには、今回のスイス原子力安全当局に指摘された事項は、きちんとクリアしないといけないでしょう。

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