2011年5月14日土曜日

石巻市大川小学校の悲劇(6)

男性教諭は、校舎内を確認しに向かいました。ガラスが散らばり、児童を中に入れる状況ではありませんでした。校庭に戻ると、子供たちは他の教員に誘導され、裏山脇の細い農道を列を組んで歩き出していました。坂道を行くと校庭より7~8メートル高い新北上大橋のたもとに出ます。男性教諭は列の最後尾についたといいます。

 「ドンという地鳴りがあり、何がなんだか分からないうちに列の前から波が来た。逃げなきゃと思った」。教諭はその瞬間をこう証言しています。波は河口とは逆方向の橋のたもと側から児童の列の先頭めがけて襲いかかりました。

 気づくと、裏山を登ろうとする児童が見えました。生い茂る杉で周囲は暗いが、ゴーという音とともに足元まで水が迫っているのが分かりました。


 「上に行け。上へ。死にものぐるいで上に行け!」と叫んでいました。追いつくと3年の男児でした

。窪地で震えながら身を寄せ合っていましたが、お互いずぶぬれでした。

「このままでは寒くて危ない」と男児の手を引き、山を越えました。

すると、車のライトが見えました。そして、助けられたということです。

 被害を免れた大半は、津波が来る前に車で親が連れ帰った子供たちでした。

しかし、他の児童とともに農道を歩きながら助かった5年の男児2人もいました。

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