2011年5月5日木曜日

震災復興税に財務省が暗躍

 これも少し古くなりましたが、埋蔵金で名を馳せた高橋洋一氏(元内閣参事官・嘉悦大教授)が、422日の夕刊フジの「2011『日本一』の解き方」に標題で寄稿していました。以下、次のとおりです。

復興構想会議が414日からスタートした。びっくり仰天したのは、会議の冒頭で五百旗頭真(いおきべ・まこと)議長から復興税の構想が出された。何にも議論していないうちに増税の方向となって、それをきっかけに、一気に増税ムードが強まってきた。

復興債を発行するが、これは増税のためのつなぎ国債であり、2012年度から3年間限定で消費税3%上げという案が出ている。「復興に要する経費は国民全体で負担する」と精神論を理屈としている。

この増税論は経済のセオリーは反している。100年に一回という大震災のショックは、100年に分割して、現在と将来の国民が負担すべきもので、そのためには100年国債にするものだ。

大震災復興では、社会インフラの整備が中心だ。津波で社会インフラが一掃されたところに新たに作るものは、社会的な生産力が高く、目をつぶってもB/C(ベネフィット=便益/コスト=費用)基準をクリアする。となると、建設公債で財源調達すべきものだ。

100年間も便益を生むので財政再建の立場から見ても、建設国債発行しても正当化できる。赤字国債ではないので将来世代への付け回しを心配することはない。

しかし、増税を悲願とする財務省は、用意周到に復興構想会議を水面下で誘導してきた。五百旗頭議長だけでなく他のメンバーも異口同音に復興税を唱える。

財務省は、総理秘書官、官房長官秘書官など様々な官邸内の重要ポストを握っており、官邸全体をコントロールすることもできる。

つなぎ国債を発行して、債還財源のために2012年度から3年間限定で消費税3%上げとなったらどうなるのか。

今年度末に増税前の駆け込み需要があるが、12年度に入ると消費はそれ以上に落ち込む。政府は12年度には復興需要が出てくるとみているが、はたしてそうだろうか。マンデル=フレミング効果を考えると、つなぎ国債を発行すると円高方向にふれて輸出が減少する。これは1995年の阪神淡路大震災でもみられたことである。

となると、公共投資の景気押し上げがあるものの、被災地と非被災地双方で消費が低迷し、これに円高が加わり輸出不振となって、日本経済全体としてはかなり苦しくなるだろう。

 ここに書かれていることは、正論だと思うのですが、どうも財務官僚は、つねに増税を考えるようです。不遜なことに今回の大震災も増税のチャンスとかれらは考えているようです。今、増税するとどういうことになるのか、想像力が欠如しています。難しい問題ではありません。

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