2011年4月14日木曜日

シンガポールで中印逆転

 シンガポールで昨年、10年ぶりに国民(永住者を含む)の家計所得調査が実施されました。注目されたのは民族別の数字です。共働きが多いこの国でインド系が1世帯あたり月平均7664シンガポール㌦(49万円)と中国系の同7326シンガポール㌦を上回り、マレー系含めた主要3民族の中で初めてトップに立ちました。

一部の突出した高額所得世帯の存在で、平均値は上方にゆがむ可能性があります。そこで、全体の状況をより適切に反映するとされる中央値(データを小さい順に並べた時の真ん中の値)も確認すると、印系5370シンガポール㌦に対して中国系5100シンガポール㌦で、「中印逆転」の構図はやはり変わりませんでした。

印系の人口は約35%増の35万人に拡大しました。最大民族の中国系も11%増の279万人に増えましたが、印系の伸びが著しかったといえます。急速な人口増を伴う所得上昇の要因は、「金融やIT(情報技術)など給与が高い業種で移民の流入が活発になったため」との見方が支配的です。

同国に拠点を置く印系企業は現在約千社あり、印系企業の狙いは東南アジア市場の開拓です。シンガポールに橋頭堡をつくり、周辺国での経営を強化したいとの思惑があるようです。

人口約6億人を抱え、2015年に「経済共同体」を構築するとの目標を掲げる東南アジアですが、経済発展に伴い、域内の中間層・富裕層の人口は20年に約39千万人と08年比で約9割も増えるとの予測もあります。この有望市場に自国経済の興隆で実力を高めてきた印系企業が挑み始めました。これからは、東アジアでは、中国人、韓国人のみならずインド人とのシビアな戦いが始まったようです。

0 件のコメント: