2010年9月30日木曜日

わが子を伸ばす(7)

~四大必須科目「音読」「作文」「暗算」「焚き火」~(松永暢史著)

 新書を読める子どもは伸びる
 「たくさんありすぎて、何を選んだらいいかわかりません」。
自分で選ぶからこそ主体性が育つのです。子ども自身が興味のあるものを選べばいいのです。興味ある本を読んで行けば好きな分野がわかるようになります。好きな分野が分かれば、自分が大学で学びたい分野も分かってきますし、大学入学後に無駄な講義を受ける時間も減ります。子どもが興味をもちそうな新書を買い与えてください。
「高校時代に新書を二〇〇冊読みました」おそらく、もうそれだけで合格です。
新書が読める能力を育てるにはどうすればいいのでしょうか。それが音読です。

 音読のすすめ
一音、一音をたしかめるようにゆっくり、大きな声でしっかり発音しながら読んでいきます。「てにをは」はとくにしっかり発音します。
「てにをは」のような助詞、助詞を強く意識するのがポイントで、これを何度かやっていると、不思議とそれまでチンプンカンプンだった古文が、現代語に置きかえずに、原文のまま理解できるようになってきます。
私たちの体の中には、母親の胎内からもって生まれた日本語のリズム感が刻まれています。音読によって、それを呼び覚ますわけです。音読は現代文でやってもいいのですが、国語力をつけるには古典を古い順に読んでいくのがベストです。
「万葉集」「古今和歌集」「竹取物語」「枕草子」「原氏物語」「更級日記」「方丈記」「平家物語」「従然草」と、主な古典を古い順でいくと新しいものが簡単に読めるようになるのです。古典的名作を音読させます。その子たちの現代文の読解力がみるみる上がっていくのはそのためなのです。

 一字ずつ読む音読をM君にやらせてみました。
音読作戦と同時に、褒めまくり作戦も実行しました。
国語力=読解力は他の教科の理解へもつながります。
理解力、コミュニケーション力、発言力、説得力・・・できる子どもになっていくのです。

 音読が「読み」を鍛えるメソッドとすれば、「書き」を鍛える方法は作文です。
子どもの国語力には、作文を書かせるのが一番です。
理解力、論理力、構成力、説得力、語彙力、すべてがわかります。
国語が苦手な子どもはまず音読です。それから作文です。
人を惹きつける魅力のある人、人の上に立つ人は、おしなべて読み書き能力=リテラシーに優れています。リテラシーが主体性やリーダーシップを支える土台になっているからです。人を動かすには、人を納得させる説得力、やる気にさせる表現力が必要です。説得力に人がついていきます。表現力が人を惹きつけます。

 リテラシーを磨けば、人に騙されなくなります。優れた判断力がつくのです。自分の命に関わる医師の診断に対してもリテラシーが必要です。おかしいと思ったら、誠意を感じることができなかったら、命を預けられないと感じたら、すぐにセカンドオピ二オンを求めるくらいの気持ちでいないと取り返しがつきません。

 自己防衛は生きていく上で大切なことです。
女の子はお喋りからリテラシーを高めているのです。女の子は男の子と比べて作文が上手です。面白い作文を喋るようにして書くことができるのです。
「ねえねえ、お母さん、お母さん」
うるさがってはいけません。しっかりおつきあいしてあげるのです。女の子は細かいどうでもいいようなことまで話したがります。ここが子育ての術です。うまく相槌を打ち、話の合いの手を入れてください。根気強く続けているうちに子どもの話しは論理的なるので長くなり、味わい深いものになっていきます。

 親が子どもにどれだけたくさんの世界をみせてあげるかが子育て術なのです。子どもの国語力を伸ばすためには学年があがるにつれて抽象教育が必要です。会話の中にも抽象語を工夫していれていくのです。
「○○ちゃんの提案はわかったわ。でもお母さんの希望も聞いて。今週は体調が悪いから、来週万全を期して出掛けよう。具体的な計画を立ててみよう」。

 焚き火のすすめ
キャンプに行ったことのある人ならお分かりでしょうが、子どもが一番目の色をかえるのは、焚き火です。
火を使えるようになって人間は急速に進化しました。いまだに人間以外に火を使える動物はいません。
 火のもつ神秘的で根源的な力によって、眠っていた野生の本能が目覚めるかのごとくです。炎に照らされ、ダイダイ色の顔をした子どもたちの笑顔は、親御さんたちにとっても忘れられないものとなるでしょう。

 少し遠出すれば河原やキャンプ場など、合法的に焚き火ができる場所はみつかります。どうも子どもたちは、火からエネルギーを得るらしいのです。よく焚き火に参加した子が受験に成功する傾向にあります。
キャンプも子どもの主体性を伸ばしてくれます。キャンプ場に必要なのは豊かな自然だけで十分なのです。キャンプは不便だからこそ楽しいです。付近の自然林の中で木を拾い、枯れ葉を集める。川から水を汲んでくる。火の番をする。共同作業の中で自分の役割をみつけることでキャンプ力がつきます。
キャンプで主体性を身につけた子どもは、家に帰ってから勉強も主体的にするようになるはずです。自分が何をなすべきかを身をもって感じたからです。

 そろばんの力
「読み書きそろばん」、この三つは確実に子どもを伸ばします。わたしの場合は、ちょっとアレンジしています。「音読、作文、暗算、焚き火」
この四つが子どもたちを伸ばす四大必須科目だとわかってきました。暗算ができれば、もちろん算数や数学の計算が早くなります。得するのはそれだけではありません。暗算とは、数字を足したり引いたり掛けたり割ったりの処理を頭の中で行うことです。暗算ができるメリットは計算の速さより、頭の使い方にあります。頭で数字を扱うテクニックに優れるのです。このテクにより、物事の処理を頭の中でイメージする力、そしてそれを素早く行う処理能力まで鍛えられるのです。できる子どもとできない子どもの違いは、もって生まれたものではありません。頭の使い方の違いです。

 ディベート力国語力の最高峰に位置するのがディベート力です。国語力を鍛えるには人とどんどん議論することが手っ取り早いのです。

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