2010年4月3日土曜日

特捜検察は何をしようとしているのか(2)

 さて、第2話です。大鶴検事は1992年に東京地検特捜部検事になり、副部長のときに日本歯科医師連盟をめぐる1億円ヤミ献金事件を手がけていますが、献金の現場にいなかった村岡兼造元官房長官を逮捕するという奇妙な捜査を行っています。小切手を受け取った橋本龍太郎総裁(?)は、逮捕されなかったのです。村岡兼造元官房長官が泣いて悔しがったのは、まだ記憶に新しいところです。
 2005年には、今度は東京地検特捜部長として、当時の佐久間副部長と組んで長銀事件を担当して起訴しましたが、最高裁で全員が無罪になるという結果になってしまいました。それに加えて、この2人のコンビは佐藤栄佐久・前福島県知事をめぐる収賄事件を仕掛けましたが、証人の水谷建設の水谷功・元会長がウソの供述を認めたことにより、現在裁判がおかしくなっています。
 そして今度の小沢関連捜査です。この捜査でも大鶴検事は最高検検事でありながら、後輩の佐久間特捜部長の尻をたたき、小沢起訴を最後まで狙ったのです。かなり無理筋で強引な捜査です。
 大林宏検事長や最初は積極的であった伊藤鉄男次長検事も捜査が進むにつれて消極的になっていったのは無理筋だったからです。それに、もし小沢が生き残った場合、それも参議院選で民主党が過半数を取った後の報復が怖いからともいえます。
 その小沢起訴を狙っていた佐久間特捜部長と大鶴検事がタッグを組むということは何を意味するのでしょうか。この件に関し、ジャーナリストの魚住昭氏は3月3日の日刊ゲンダイで次のようにコメントしています。
 「一連の捜査で、国民は小沢氏を狙い撃ちするような検察の〝捜査の正体″を知ってしまった。その検察が2回失敗し、3回目にトライするというのは、司法の公正さを保つ意味でも、検察の信頼をさらに損なう恐れがあるという点でもリスクが高すぎます」。 
 検察がなぜこうも小沢潰しにやっきになっているのでしょうか。それは検察が小沢幹事長に恐怖心を持っているからです。それは民主党が7月の参議院選挙で60議席を取って単独過半数になった場合のことです。そうなると、佐藤優氏は、2つの可能性があると言っています。
   1.特捜部の解体・再編
   2.検事総長の政治任用
 検察が仕掛けた小沢関連捜査――いわゆる政治とカネの問題の影響で、内閣支持率、政党支持率ともに下がっていますが、小沢は風に頼らない組織選挙に着実に手を打っています。昨年暮れのことですが、小沢幹事長は、高野山・金剛峯寺を訪れ、全日本仏教会会長の松長有慶・高野山真言宗管長と会談しています。この全日本仏教会には、102団体が加盟しているのです。この会談後、小沢幹事長は次のように語っています。
 「キリスト教もイスラム教も排他的だ。排他的なキリスト教を背景とした文明は、欧米社会の行き詰まっている姿そのものである。その点、仏教はあらゆるものを受け入れ、みんな仏になれるという度量の大きい宗教だ」。この発言をメディアは、「欧米を敵にした」と大きく取り上げましたが、実際には欧米では冷静に受け止められています。
 佐藤優氏によると、「小沢のこのキリスト教批判発言は、周到に練られた戦略に基づくものである。仏教の寛容さを称賛することによって、神道界にシグナルを送っている」と言っています。自民党の支持基盤になっている仏教会を切り崩そうとしているのです。そのうえで、創価学会を民主党に引き寄せようとしています。 (以降、明日へ)

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