2009年10月5日月曜日

JALの経営危機

 前原国交相が八ケ場ダムに継ぎ、厄介な問題に取り組まざるを得ません。不思議なのは、わたしは、国内の移動も新幹線を使わずにANAではなく、JALを使っています。もちろん、業務上、多い海外出張もJALです。年に80回以上は、乗ります。そして、いつも満席に近いのです。ですから、なぜ経営危機だろうと不思議に思います。多分、客が少ないとかの理由ではないと思います。もし、そうならば、よほど採算の悪い路線を性懲りもなく続けていることになります。また、航空運賃もけっして安くありません。
 JALは、前3月期で631億円の純損失を出し、今年の4―6月で990億円もの赤字を出しています。これ以前にも、西松遥社長は公募増資、第三者割当増資、大型融資で毎年1000億円規模の巨額な調達を続けて来て、この結果です。また、今春には財務省の所管となっている日本政策投資銀行が1000億円の緊急融資をしています。
 西松氏は航空機や部品を購入した際のリベートを営業外収益に計上して、実態以上に利益があるようにみせかけたり、簿外のリース債務、年金の積立不足などのレガシーコスト(負の遺産)の清算を行って来なかったのです。
 前原国交相のヒアリングを受けた時も、破綻寸前にもかかわらず、具体的にいくらの支援がいつ、いくら必要かという肝心なことが説明できずに、前原相の支援の確約が得られませんでした。些細なことですが、社長になった時には、公共機関で通勤していましたが、今では自家用車での通勤です。社長が公共機関で通勤すれば、他の役員もこれに倣うでしょう。車代、運転手代、ガソリン代、経費などで月に200万円/台以上かかります。JALでは、もっとかかっているでしょう。いずれにしましても、借金に苦しむ経営者には、見えません。
 JALには、いろいろな問題があるようです。GMと同じ、年金問題。おそらく、社員も多いので、退職金の問題も大きいのでしょう。労組も8つもあるので、人員削減もなかなか手がつけられません。このままで、お金を投じても経営の改善には使われず、給与、年金に回るのが関の山です。識者のうちには、倒産させた方がいいという人もいます。会社更生法を適用して倒産させるべきというのです。裁判所に管財人を指名させます。そして、組合とも人員合理化の話し合いを行い、債権者とも折衝して、債権を圧縮、もしくは放棄させるのです。これに反対するのは、JALの役員、社員と国交省の役人たちです。
 自民党政権は、JALに2000億円の債務保証枠を与えていました。この枠の残りの1000億円は前原相によって白紙撤回されています。JALは年内に1700億円とも2500億円ともいわれる資金不足に陥る見通しです。
 しかし、JALにも言い分はあるでしょう。JALは赤字垂れ流しの地方空港などの整備のための「社会資本整備特別会計空港整備勘定」に毎年1000億円の上納を強いられて来ています。こういった足枷を外すことも必要です。それにしても、特別会計は、ロクなものではありません。
西松社長は、対策として、社員の約10%に当たる6800人の人員削減、国内線29路線、国際線21路線の廃止などを改善計画として出しています。しかし、誰もやれるとは信じていません。公的資金によるつなぎで、のど元過ぎれば、なんとかなると思っているのでしょう。
 心配なのが、国交省による「JAL再生タスクフォース」です。田中康夫氏も心配していることがあります。前原相と「旧知の間柄」という富山和彦氏が、「企業再生の専門家」として権限を持って入ることです。田中氏は、ダイエー、カネボウを「再生」とは対局にある「崩壊」に至らしめた人物と書いています。そのほか、5~6人が執行役員で入るようです。国交省が中に入るべきではありません。どうやら、カーライルなどのファンドが、再建団体に乗り込んだ形がイメージされます。少し危ぶまれます。マスコミも正しく報道してほしいものです。
前原相には、前に民主党代表時代の偽メール事件のイメージが付いて離れません。勇み足の性格が拭えません。今回は、これを払しょくすべく遠山金四郎ならぬ切れのいい裁きを期待しています。

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