2009年10月25日日曜日

八ケ場ダム(2)

 2009年9月24日の報道によりますと、マスコミが取り上げて有名になったので、一目見ようと観光客が殺到しています。高さ87メートルもある2号橋が人気で、すぐそばの広報センター「やんば館」には、1日で入館者が1000人を超えたそうです。わたしも話のタネに1度行ってみたいと思っています。温泉にも入ってみたいですね。頼朝ゆかりの温泉だそうです。
 八ケ場ダムの建設費は、2004(平成16)年、2度目の計画変更を行い、事業費が2100億円から倍以上の4600億円に上昇しています。事業反対派は、建設事業費に基金事業費、起債の利息も含めると総額8800億円になるという試算を示しています。そうなりますと、文字どおり日本のダム史上、最も高額なダム計画となります。ちなみに日本最大の黒部ダムの総工費が513億円です。黒部ダムの着工が、1956年。竣工が、1963年です。あの難工事でも7年でやっています。八ケ場ダムの方が、着工は早いくらいです。
 そして、八ケ場ダムの工事費用は、もっとかかりそうです。このダム予定地の周辺には、地滑りすると見られているところが22カ所ありますが、予算を盛られているのは、3カ所のみです。ダムに水が溜まると、こういうところは必ず地盤が緩くなり、崩れます。
 こうした費用の面も論拠の1つとして、ダムの恩恵を受けるとされてきた利根川下流の一部住民からは「ムダな公共事業」との批判が起こり、2004(平成16)年11月、関係都県(東京、千葉、埼玉、群馬、茨城、栃木)の各地方裁判所にそれぞれ公金支出の差し止めを求める住民訴訟が一斉提訴されました(ひとつでも勝訴すれば、事実上建設ができなくなります)。
ジャーナリストの早川玄氏が、日経BPに掲載したコラムで、建設中止を求める市民団体などのウェブサイトの内容を紹介した上で、建設中止に反対している地元住民の意見が地元の総意であるかのような報道姿勢に疑問を呈しています。テレビでも、長野原町長に対して、住民投票はしないのかと質問されていましたが、答えずに逃げていました。
 ダム事業が中止された場合、特定多目的ダム法第12条(建設費負担金の還付)に基づく特定多目的ダム法施行令第14条の2項の規定により、共同事業者からすでに納付済みの利水関連事業費1,460億円から約40%に相当する厚生労働省および経済産業省からの国庫補助金相当額を除いた額が還付されることとなります。約870億円を各都県に返却せねばなりませんが、その方が何十倍も安上がりでしょう。
9月23日に前原国交相が現地視察を行った長野原町で、現地住民から建設中止に対し賛否両論の声が上がりましたが、建設反対の現地住民を建設賛成のひとたちが視察会場へ入るのを拒まれたそうです。
 どうも、これまでの自民党の国交行政は、すべて建設ありきだったように思います。10月16日に空港の件を書きました。共用空港その他を除いても、96の空港があります。そしてさらに新石垣と茨城にも空港を建設しています。どうも、このダムも同じ構図です。100以上のダムが建設中もしくは計画中です。空港と同じで、もう要りません。四国の清流の四万十川にすら、これら国交省役人や政治家は、ダムを造ろうとしました。今、沖縄のきれいな海も埋め立てようとしています。そして、一方では、環境、環境と言っています。大きな矛盾を感じます。

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